子音単体音素(C)の使い方・原音設定の仕方
子音単体音素の扱い
注意
この記事は,あまりセオリーの定着していない「子音単体音(C)」の扱いについて今書けるレベルの知識をまとめたものです.
誤解があったり,技術的な進歩で内容が変わる恐れがあります.
使うシチュエーション
- VCとあわせて破裂音の無声化に使う
- VCとあわせて無声化ノートのロングトーンに使う
- CVとあわせて子音の強調に使う
- 英詩など子音が連続する部分で使う
- 他にもあるかもしれないけど思いつかない
VCとあわせて破裂音の無声化に使う
eve式の原音設定では破裂音のVCに子音が入っていないため子音単体音素で補う作戦
ex)ちくたく
[ち][i k][た][a k] →「ちったっ」に聞こえる
[ち][i k][k][た][a k][k] →「ちくたく」に聞こえる
子音単体音のオーバーラップ値を先行発声と同じ値にすることで子音全体でクロスフェードする
ex)図の場合
「k」の先行発声値は17なので,「k」のオーバーラップを17にする.
VCとあわせて無声化ノートのロングトーンに使う
フレーズ中から切り出すVCの子音部分は原音が短いため引き延ばしに弱い.
フレーズ中からの切り出しでは結局原音長が短くあまり役に立たないので,
ロングトーン用の子音を別録して対策する
子音単体音素の先行発声とオーバーラップ値を滑らかに聞こえるまで同じだけ上げる.
ex)図の場合
shの標準:先行発声0 オーバーラップ0
↓
先行発声80 オーバーラップ80にする
CVとあわせて子音の強調に使う
フレーズ頭の強調や,単独音音源において子音が弱い場合に使う
フレーズ頭での利用例
続くCVの
オーバーラップ値を先行発声と同じ値にすることで子音全体でクロスフェードする
ex)図の場合
「さ」の先行発声値は115なので,「さ」のオーバーラップを115にする.
フレーズ中で使う場合(主にVCが存在しない単独音)
1.VCみたいな感じで,1つ前のノートを分割してCを置く.
2.Cのオーバーラップ値は,続くCVの原音設定上のオーバーラップ値を入力する.
ex)図の場合
「さ」のオーバーラップ値は36なので,sのオーバーラップを36にする.
3.CVのオーバーラップ値を先行発声と同じ値にする.
ex)図の場合
「さ」の先行発声値は115なので,「さ」のオーバーラップを115にする.
英詩など子音が連続する部分で使う
"えっくす"のksとか.
C-Cに対応してる音源はほとんどないので子音単体音素で妥協します
続く音が破裂音・破擦音以外の場合
1文字目の子音(k)については,VCとあわせて使う無声化と同じなので割愛
sの方に母音結合をかけて(オーバーラップを先行発声の倍ぐらいに設定して)繋ぐ.
続く音が破裂音・破擦音の場合
1文字目の子音(s)については,十分短いのでC単体音を入れる必要はありません.
破裂音・破擦音はクロスフェードしないので,母音結合不要でノートを置くだけです.
子音単体音の原音設定
上述の通り使い方によって先行発声やオーバーラップ値を弄るので,1種類でいつでも対応できる原音設定はありません.
自分は設定が楽で,パラメータに自信を持てるフレーズ頭用の設定を採用しています.
フレーズ頭用破裂音・破擦音(k,ky,t,ty,p,py,g,gy,d,dy,b,by,r,ry,ts,ch)
○:フレーズ頭強調,フレーズ中強調,英詩
×:VC直後
VC直後用破裂音
○:フレーズ頭強調,VC直後
×:フレーズ中強調,英詩
フレーズ頭用破裂音・破擦音以外の普通の子音
○:フレーズ頭強調
×:VC直後,フレーズ中強調,英詩
フレーズ中用普通の子音(検証が十分ではありません)
○:フレーズ中強調,英詩
△:VC直後
×:フレーズ頭強調
子音単体ノート取扱い時の共通注意
UTAUのエンジンには収録時の音量の誤差を埋めるために,ノートを-6dBにノーマライズする機能が備わっています.
この関係上,母音と子音の両方があるCV,VC,VCVでは母音が-6dB付近にくるだけで問題がないのですが,子音単体ノートのCだと子音が爆音で鳴ります.
これを抑制するためのフラグがPフラグです.
デフォルト値86.
P100で完全に-6dBにノーマライズ.
P0で収録時の音量のまま出力されます
子音単体音素はPフラグか音量のどちらかの値を下げたほうが使い勝手がいいです.
P0の場合